00/05/09 (火) 11:00
現場から会社に帰ると、大家には連絡する事ができたが、保証人には連絡がつかないと言う。保証人には、入居者の義弟がなっていたが、入居申込書に書いてある電話番号は、すでに使用されておらず、当時
勤務していた会社も既に退職していた。困ったことになってしまった
しかし、彼が生活保護を受けていたことを思いだし、役所に電話をして事情を話し、担当の民生委員の方に連絡をつけてもらう。民生委員の方により、実の妹は、茨城県に居ることと、実の弟が、隣の町に住んでいることが判明した。早速、弟さんに電話するが通じない、留守のようだ。

とりあえず、身内の電話番号が分かったので、次は、大家さんにこれまでの状況説明をする。
部屋がかなりヒドイ状況なので、最悪の場合、ゴミ処理と部屋の修理はこちらでやらなくては成らないので費用を出して貰う事と、滞納家賃はあきらめて貰う事の了解を取り付ける。これで、少しは気が楽になった。
お昼になったので、昼食を取るがぜんぜん食欲がわかない。あの、横たわった姿が鮮明に頭に焼き付いている。昼食を食べ終わると警察より電話が有り、弟さんと連絡が付き、今 遺体を引き取りに来ていると言う。多分、警察も、同じ生活保護のルートで調べたのだろう。
直接、弟さんと電話で話し、アパートは今月中に引き渡すこと、滞納家賃2ヶ月分は支払って貰うよう頼む。こんな時に、家賃の督促をするなんて鬼のような奴だなあと、自分でも思いながらも、
仕事と割り切る。
00/05/22 (月)
弟さんより電話が有り、部屋のゴミと荷物の処理は終わったと言う、滞納家賃は月末まで待ってほしいと言うことだ。
ここ10日間、新聞の死亡広告欄を見ていたが、入居者の名前は出ていなかった、多分まともな葬式も上げて貰ってないようだ。弟さんも、お金は無い様だ、滞納家賃は多分、回収できないだろう。
部屋の確認のために現場へ向かう。部屋を開けると、まだ部屋自体は汚いが、ゴミや荷物はすべて無くなっていた、これだけしてくれれば十分である。
和室の方を見ると、彼が倒れていた畳の上に顔の形をしたシミが、くっきりとと残っている。ちょうど、顔と畳が直接、接していた部分だけにシミが残っていた。なんとも、生々しいシミだ、関係無い人が見たらただのシミだが、実際に死んでいる彼を見ている私としては、背筋に寒いものが走り、早々に部屋を出てきた。
会社に帰りながら思ったことは、これから、高齢化をむかえる時代、確実にこのようなケースは増えて行くだろう。あまり、増えてはほしくないものだ。 |