00/05/01 (月)
家賃2ヶ月滞納者を督促のため自宅訪問するが不在。この滞納者、55歳男性1人暮らし。去年、不景気のため職場をリストラされる。以後、失業保険で食いつなぐが、それも無くなり、今年2月からは生活保護を受ける。
明日は、生活保護費の受給日、なんとしても回収しなければ。
00/05/02 (火)
訪問するが不在。玄関の郵便受のマドから部屋の中をのぞくと、昨日、出した督促状もそのままの状態、新聞が2〜3日分溜まっている、そろそろ、逃げられたかなぁ。
いつも履いている靴があるので、ドアをガンガン叩くが、出てこない。連休が終わったら、部屋を開けて見た方が良いかも知れない。
00/05/08 (月)
いまだ彼からは、家賃の振込みも連絡も無い。
明日、部屋を開けて見よう。
00/05/09 (火)
今日は、いよいよ部屋を開けるべく、合い鍵を持ってアパートへ向かう。AM9:30アパート到着。郵便受けより中を見るが前と変わらず、新聞が溜まっている。一度,声をかけるが反応が無い。「よし、開けよう」 いつもながら最初にカギをあけ、部屋の中に踏み込む時は緊張する。
合い鍵でカギを開け、玄関にある新聞の日付をチェックする。一番古い日付が4月29日だから、28日より居なくなったらしい。
玄関先で又、一声かける「○○さん、居ませんか、入りますよ」 居間のドアをあける。「ワァ
! スゴイ ! ゴミの山」 これは、「ゴミと暮らす男2」が書けるなと思いつつ、居間に入った。

居間に入ると何か臭う、ゴミの臭いとは違う、何とも言えない嫌な臭いだ、悪い予感。隣の和室の引き戸は閉まっている。意を決して、和室の引き戸を5cmほど開け中を見る、
「ギャ〜、倒れているよ」 こちらに背を向け紺のジャージ姿で、うつぶせに倒れている。「○○さん、○○さん、大丈夫ですか」 震えた声で、話しかけるが反応は無い。
おそるおそる近づき、顔をのぞき込むと、黒ずんだ明らかに生気が無い顔がそこにあった。足を見ると、足もすでに黒紫色に変色している。状況から見て、布団の中で寝ているときに、具合が悪くなり、もがき苦しんで生き絶えたという感じである。
「死んでるよ〜、どうしよう〜」 私が、第一発見者になってしまった。とりあえず、会社に電話をして、保証人と大家に連絡をとるよう指示する。次に携帯で110番通報
以下、警察とのやりとり
私 「○○不動産のtamtamと申しますが、管理しているアパートに家賃の集金に行きましたら、入居者が死んでいるんですが」
警察 「あなたが、アパートに行ったとき、カギは開いてましたか ?」
私 「カギはかかっていました」
警察 「どうやって、中に入りました」
私 「管理しているアパートなので、合い鍵で入りました」
警察 「今、現場に居るのですね」
私 「はい、そうです」
警察 「部屋の中は、窓ガラスが割られたり、泥棒が入ったり、荒らされた形跡はありますか」
私 「荒らされた形跡はありませんが、部屋はあれてます」
警察 「あなたから見て、死亡原因は何だと思いますか ?」
私 「病死だと思います」
警察 「わかりました。すぐに、警察と救急車をやりますので、現場で待っててください。現場の物を動かしたり、触ったりしないように」

15分後、警察と救急車が到着。10人ぐらいの刑事さんが来て、パチパチ写真を撮ったり、遺体の処理を始め、黒いゴミ袋のような大きな袋に入れられ運ばれて行った。
私は、事件性が無いと言うことで、簡単に現場で30分ぐらいの事情聴取を受けただけで解放された。
後から考えると、私は、彼に対してあまり過酷な取立てをしていなかったので良いが、これでキツイ取立てしていたら、「家賃、持ってきました」って絶対に枕元に立つよ、立たれた時にはノイローゼに間違い無くなるね。事件から4日、まだ枕元には、立っていない。
PS: 他の不動産会社の社長に、「tamtam君も、ついに死人見たかぁ、死人見て、その後処理できたら、もう一人前だなあ」と 変な誉められ方をした。その社長は、自殺者1人・病死1人処理してるから、慣れてるけど。こんなこと、慣れたくないよね。
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